2017年12月例会報告 この一年を振り返る


ご参加いただきましたみなさまへ

 

年内最後の例会を23日に終了いたしました。この一年間、例会活動に直接ご参加いただき、その時々の話題に意見や感想を積極的に出していただくなど、お互い考える機会をもつことができましたこと大変うれしく思います。ありがとうございました。

 

来年は、212日に「練馬区つながるフェスタ2018」への参加や2年ごと行ってきた大きなイベント企画などを実施したいと思い、外に向けての活動年としたいと思います。

 

さて、「この一年を振り返る」テーマで、ワークショップを行いましたので少しご紹介をします。

初めての試みでもありましたが、友人香取一昭さんの手法をマネて振り返りも話題の幅や掘り下げに広さや深みがでる展開となり新しい刺激を受けました。ご参加のみなさまにも面白い試みだったようです。

 

2017年を振り返る>

ラウンド1: 20年後に影響をすると思われる今年の出来事 3つ

       いろいろと自分だけでは、気が付かないアイテムが挙がってきました。

       またみんなに共通話題も。

ラウンド2: それぞれがどのようにかかわっているのかを考える

 

ラウンド3: 2017年は一般人にとって「○○○・・・の年」

       自分にとって「○○○・・・の年」

 

おまけ: 20年後に今年2017年を振り返るとき、どんな意味があるのかを考える後半は、来年の課題について、意見を出し合いました。

 

1.AIと生命倫理(山森さんの継続テーマ)

2.子どもの育ち、その環境変容を知るべく学童保育、放課後等児童教育施設の現状把握

3.社会的事件、その背景(座間9人殺害事件とSNSネットワークなど)

4.看取りと地域包括医療システム

5.遠足企画→香取さんのワールドカフェに参加、ホストとして場づくりを行う(2月)

6.その他、メーリングリストにてみなさまから話題提供の提案を募ること

 

6にありますように、独自に考えておられる課題(発表も含む)や話題などございましたら、ぜひお知らせください。またご自身での場づくりもOKです。

 「第 34 回全国青少年相談研究集会」の開催(118日、19)をお知らせいたします。←ご参加希望の方はご一報ください。

 

○複雑化する青少年問題にどう向き合うか~『連携』を問い直す~」として、基調講演、分科会(「児童虐待」「インターネットをめぐる問題」「いじめ」「子供の貧困」「発達障害」)、シンポジウムを通して、複雑化する青少年問題への対応について考えます。

http://www.niye.go.jp/info/yukutoshi.html

 

また、当会にご協力をいただいている松永正訓医師のご活躍情報のお知らせです。11月ご登壇の講演会予稿集大変よい内容ですので、みなさまと共有したいと思います。

 

○第36回日本医学哲学・倫理学会

http://itetsu.jp/main/wp-content/uploads/2017/09/36thJAPERMAnuMeetProgram.pdf

なお、2月9日(金)早朝4時から、NHK「ラジオ深夜便」に出演し、「授かりものの命をささえる」というテーマで40分ほど話しをされます。

それでは、みなさまよい年をお迎えください。

 

追伸:来年1月以降の例会日は以下のようになります。

120()217日か24日(土)、317日(土)428日(土)変更になる場合もございます。いずれも多目的室2を仮押さえしております。

 

詳しくは近くなりましたら、ホームページでご確認ください。


     2017年11月例会報告「ゲノム編集時代の生殖医療と私たち」講演会 聴講報告

10月の例会においてゲノム編集についての問題点について山森が話題提供し、皆さんで議論をしましたが、20171126日(日)、テレコムセンターでゲノム編集に関する講演会があるとのこと、急遽、遠足企画としてサイエンスアゴラ2017の日本学術会議 科学と社会委員会 ゲノム編集技術と社会に関する検討分科会 基調講演 企画番号 141の「ゲノム編集時代の生殖医療と私たち」の講演を森本代表、立野氏および山森の3名で聴講してきました。その論点、内容および感想を以下に示します。

企画趣旨は「市民レベルでゲノム編集技術についての理解を広げ、問題の共有を図り、制度のあり方や個々人の心持ちも含めて議論することにより、ゲノム編集技術の生殖医療応用のあり方について議論をする」とのことでした。(チラシより引用:http://www.mbsj.jp/attachments/meetings_attach/20171126.pdf

司会は石川冬木氏(日本学術会議会員、京都大学大学教授)が行い、話題提供者(演者)は石井哲也氏(北海道大学安全衛生本部教授)苛原稔氏(徳島大学大学院医歯薬学研究部産科婦人科学分野教授)、村山圭氏(千葉県こども病院代謝科部長)および宮野きぬ氏(NHK国際放送局ワールド・ニュース部チーフ・プロデューサー)の4名でした。

石井氏はヒト配偶子や受精卵のゲノム編集についての論点を話されました。まず、生殖医療、特に着床前診断(PGD)について説明後、ゲノム編集の原理、目的、利益、リスク&問題について説明をされました。論点については生殖医療現場で使う目的は、遺伝子の変異を修復し、子における遺伝子疾患の発症を予防することだろう。として、6点をあげられましたが、以下に2点のみ転載いたします。(石井氏配布資料より)

・多くのケースでPGDが適用できそうだが、一部夫婦へのゲノム編集の適用は妥当に見える。基礎研究を許容、むしろ振興すべき

 か、逆に禁止すべきか

・予防医療目的で使った後、胎児に遺伝的異常があることが分かり、中絶が選択される可能性があるが、問題ないか否か

論点については時間の制約から掘り下げた説明はされませんでしたが、国でも、市民レベルにおいても十分議論すべだと感じました。

苛原稔氏からは、日本の生殖補助医療(ART)の状況、日産婦学会のPGT-Mに対する考え方、審査の現状およびこれからのPGT-M等についてのご説明がありました。

これらのことを踏まえて、生殖医療へのゲノム編集技術の応用は、克服する問題が多く、現状での臨床応用はじき尚早であり、当面、基礎研究に限る必要があると述べられました。

村山氏からは、こども病院・遺伝診療の現場からと題して、新生児ミトコンドリア病の出生前診断について例を挙げ説明をされました。また、卵子の細胞質・ミトコンドリアを交換することでミトコンドリア病の伝播を回避する紡錘体移植および前核移植に触れられ、2015年に英国では法整備がされたが、日本では卵子提供や生殖細胞への介入が法的に認められていない状況であるので、倫理的な問題、法的・社会的な問題や次世代への影響、安全性、有効性についての検証が必要であると指摘をされました。

ミトコンドリア遺伝子の改変も、生殖医療に深くかかわっていることを改めて認識するとともに、次世代の遺伝子を改変する新しい生殖医療が想定されているにもかかわらず、生殖細胞系列の遺伝学的改変の国および市民レベルでの議論は進んでいるとは言い難い状況を解決していかなければいけないと感じました。

 宮野氏からはNHKにおける関連報道の取り組み(「生殖医療・着床前診断・ゲノム編集」)と題して、まず、「生殖医療」「着床前診断」のニュース報道に比べ2016年からヒト受精卵関連の“ゲノム編集報道”が増加していることを話され、リストで示されました。また、これらに関連した世界の報道についても紹介され、最後に、日本における議論で必要な視点は、①技術の安全性、②次世代に引き継がれる遺伝情報の是非、③生まれる子供の視点(出自を知る権利など)、④人間とはなにか? であろうと述べられました。

話題提供終了後、会場からの質問が設けられましたが、関心が高かった質問について、紹介しておきます。

 Q:ゲノム編集技術が将来、成功率や安全性が仮に100%くらいになったとの前提で、ゲノム編集をすることが、第一選択となるか? 敢えて、ゲノム編集を拒否することはあるか?(命にかかわる疾患を予防する技術がある時に、それを使わないのは倫理的に受け入れられるのかという問題)

話題提供者からは、「倫理の専門家ではないが、自分の意志とは関係ないところで胚の遺伝子が物理的に操作されて生まれてくるところに倫理的な問題が孕んでいるいるように思える」との発言がありました。また、別の演者からは、「選択肢は色々あると思う。まだ生まれていない段階での操作なので、予防という考え方になると思う。

選択肢の例としては、例えば健康な卵子や精子を提供してもらい、片方の親と血が繋がることも考えられる。(日本では無償の卵子提供以外は認められていないが)その他、特別養子縁組なども選択肢として考えられるであろう」とコメントされました。

 今回、講演に参加して、自分が考えていた以外の様々な分野において、生殖医療の問題があることを知るとともに、その問題の解決のための選択肢についても課題があることを知りました。

 法的制限など考えられる問題や選択肢について、一つ一つ、早めに議論を進め、社会的コンセンサスを得ていくことが大事であろうと感じました。(報告:山森 俊治)


     2017年10月例会「先端技術に関わる生命倫理」~ゲノム編集と倫理的問題

10月例会の「先端技術に関わる生命倫理」~ゲノム編集と倫理的問題には話題提供をしていただいた山森さんより50枚ものスライドをご用意いただき、参加のみなさまと活発な議論をすることができました。

新しくご参加の方より、現在の医療分野では、基礎より臨床を重んじる方向であること、また、医療の世界では「人は、どこまで生きるのか、生かせるのか」が大きな課題となっていること、研究者も人の子、各段に進歩したゲノム編集技術による生命操作暴走への歯止め力への期待、当面は創薬分野での進行を見守っていくことなど、いろいろと気づかされる意見をいただきました。

少し時間をいただき、当日資料をホームページにアップする予定でおりますのでお待ちください。(報告:森本)

 


    2017年9月例会「地域福祉の現場から、訪問看護のこれからを考える」

江澤淑子さんをお招きし、長年にわたり看護・介護など福祉活動を続けてこられた経験にもとづくお話しをしていただきました。

 

専業主婦であった江澤さんは、あることをきっかけとして介護福祉の世界に入られましたが、この道に進む選択の際に、一番大きな影響を与えてくれたのが、訪問看護の草分け的存在として現在も勢力的に活動をしておられる秋山正子さんだと言います。

 

秋山さんは、訪問看護制度初年度の1992年(平成4年)に市ヶ谷本村町の白十字診療所と同じビルに事務所を開設、その当時訪問看護ステーションの数は全国200か所、都内9か所ほどでしたが、その後最近では1万か所に届くほどに。 2001年(平成13年)には有限会社ケアーズを設立し、ケアーズ白十字訪問看護ステーションとして活動を継承、10年後の2011年には「暮らしの保健室」を戸山ハイツに開設するなど、日常生活を基本とした暮らし、健康、医療、介護などあらゆる相談に応じながら、活動範囲を広げてきました。そうした秋山さんの活動をひざ元で支え、初心を貫く姿に強く影響を受けたと言います。

秋山さんの言葉: 利用者すべての方が自らの尊厳を守りながら、住み慣れた自宅で生活が続けられるよう、生活リハビリテーションも含めて、支えていく。そのために、病院や施設との連携を図り、医療と介護の橋渡しをしながら、チームケアの橋渡しをする。これまで、ターミナルケアにも積極的に取り組み、その実践の中で学んだ「ホスピスマインド」を活かし、最期まで自分らしく生きたいと願う方々の看護を実践していく。(ケアーズホームページ「住み慣れた処で暮らす」より抜粋)

 

「ミモザの家」はそうした考え方から作られた看護小規模多機能型居宅介護サービスの拠点です。「通ってよし」「泊まってよし」「わが家でよし」の利用者の生活の拠点となる多様なサービスを提供する「家」でもあります。ディサービス、ショートステイ、リハビリテーション、自宅介護サービスとバラバラ感がある現状の介護サービス環境で一気通貫ともいえ多面的支援は大変意義ある活動だと感じました。

 

また、秋山さんが理事長をしておられるNPO法人白十字在宅ボランティアの会を中心に利用者の声を聞き、それを一人の人生物語として書き起こす「聞き書きボランティア」の育成指導活動には大変興味をもたせていただきました。

「「聞く」ことで忘れていた記憶がよみがえり、語り手が生き生きしてくる。最も身近な家族に目を向け、耳を傾ける姿勢が何よりの敬老なのでは?」(「聞き書きボランティア」ホームページより)の言葉には、イマドキ家族には薄れがちな面に気づかされもしました。他人に語る言葉から、家族でも知らなかったその人の人となりに気づく、新しい発見でもあります。(報告:森本)


2017年8月例会「ビュートゾルフから地域づくりを考える」

昨日、生命倫理カフェ・ねりま8月例会「ビュートゾルフから日本の地域づくりを考える」を無事終了いたしました。事前用意をしていた部屋では入り切れずに、急遽大部屋に切り替え20名を越える方たちにお集まりいただきました。うれしい悲鳴です。

 

小さなお子様をお連れになった嚥下と栄養を考える会の歯科医師から先回から参加の高校生、早稲田の商店街活性化事業担当の30代若者、訪問介護の草分け暮らしの保険室からの介護福祉士や現役医師、その他プラニングやマーケティング企画マン、日本地域開発センター主任研究員など多彩な面々が集まる熱心かつとても意慾的な会となりました。

 

 当カフェ常連で雑誌「シニアコミュニティ」編集長の進行で3時間ほどの会が始まりました。話題提供者側は、Buurtzorg Services japan()(フランチャイザーの立場)より若手経営企画部長、フランチャイジーにあたる事業普及主体のちいき・ケア()よりこれまた若手社長、拠点2ヵ所(大泉・富士見台)のうち富士見台から講師をお願いした看護師馬場さんと若手メンバーによる明確な意思と使命感をもったプレゼンテーションでした。

しかしながら、我々年配企業経験者たちから、様々かつ厳しい質問が相次ぎ、次第に説明だけではぼんやりとしたいくつかの点が見えるようになりました。

現状のケアマネジャーを中心とした介護保険上の専門家集団との仕組みの違いへの問い、今後の地域に浸透するための事業展開への質問などでは、問いを重ねるたびに若手の明確な意思の周辺がより深く、広く紐解かれました。

一言でいうと、専門家の個別機能を提供するだけではなく、とくに看護師の主体性と自立精神を軸とした関係性の構築、利用者(クライアント)の抱える問題解決のパーソナルコーチ、そこに重きを置き、iPadを利用したBZWEBICT活用が周辺を支える仕組みだと理解しました。

 

内容としては、「コミュニティ」~看護師間の情報を共有、「チームコンパス」~自分たちのチームの成果を振り返る、「クライアントコンパス」~アセスメント・目標設定・ケアプラン作成・成果のモニタリングなどに特徴があります。

いずれも最大12名チームによる4050名のクライアントを24時間365日支える看護師をサポートしている仕組みです。

看護師というと、1.訪問介護人材として集まらない。2.すぐやめる。3.管理者のリーダーシップに依存という3悪癖を取っ払う新規性を強調されていました。

 

今後の展開に関しては、参加者から地域に散在する様々な「場」の活用を積極的にして事業の種を畑を広げ、蒔くようにと意見が出て、とくにそのためには寺院の活用などをあげられたのが印象に残りました。

最後部屋を出てからも入り口に佇み、今後の展開へのアドバイスを若手メンバーに積極的にする先輩たちの姿が、とくに彼らの今後、人生のしまい方を考える観点からも目に焼き付いています。

こうして老若男女、多種多様な人々が集うことが地域の原点、その小さなモデルがちょっと見えた例会となり、うれしく思います。

当カフェとしても近々、3回目のイベントを地域、多死社会、訪問看護、看取り文化などのキーワードから練っていきたいと思っています。

 

ご関心とご興味がおありの方はどうぞご連絡をいただければ幸いです。(報告:森本


2017年7月例会「人生の最期を考える ~ホスピス・被災地・葬送の現場から~」

中下大樹さんの「人生の最期を考える」講座には、5名もの新しい参加者を含め、10人を越える方たちにお集まりいただき、7月22日(土)朝9時より開催されました。

早い時間にも関わらず、遠くからお見えになる方もおられ、また千葉から来られた現役高校生の参加には、少し驚きでしたが、こうしたテーマにもかかわらず、問題意識をもった若い方たちもいらっしゃることを知らせてもくれました。

中下さんは出生からのご自身の環境を赤裸々に話され、仏教との出会い、その後の600名近い方々の看取りについて、静かに語られました。

いずれも大変衝撃的でした。また「死」は、多弁でもあることも教えていただきました。「人は、生きたきたように死ぬ。」重い言葉が続きます。

 

老衰はもとより、震災、事故、自殺など突然の“まさか”と思える「死」、緩和ケア、ホスピスなどでの予測される「死」。多様な中に、これほどまでに多弁に語る死に出会ったことがない、私たちには衝撃でした。

現場からのお話は、いずれも胸に深く刺さり、重くとどまりました。

災害地へも積極的に足を運ばれておられます。

自衛官の前に運ばれたご遺体、それが偶然友人だと分かった瞬間、最敬礼後、「また、会おう!」絶叫が、死者との関係の厚さ、深さを教えてくれた。また現代社会の縮図でもある孤独死、自殺など現場からのご発表はいずれも、見る事、知る事の少なくなった「死」からの強いメッセージでした。

中身の濃い、深く考えさせられる2時間、「死」は多弁であり、残るものに伝えるべく、ある種の物語を内包している唯一無二のもの、そんな思いが去来しました。

だから、死を避けるのではなく、忌み嫌うのでもなく、まして、日常から隔離、あるいは外注して終わりではなく、自ら受け止める、身近に置く、そのことの大切さと意義を話されたようにも受け取りました。まさしく己の生を考えさせる死(者)からのラストメッセージ。

会場の部屋を出た後、ほとんどの参加者が残られ、隣りロビーで1時間ほど中下さんを交え、話が続きました。

中下さんのお話をお聞きしたいという方は、8月早稲田での社会人講座へぜひお出かけください。

 (終了)

https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/39559

 

思索の時を充実感とともに与えてくださいました中下さん、本当にありがとうございました。(報告:森本


20174月例会

多死時代を生きる

 2017年421日の例会には、新たに2つのネットワーからご参加をいただきました。一つは“大きな福祉”を掲げて、教育、自然・社会環境、医療・看護・介護など高齢者、障害者問題といった現代社会が直面している数々のテーマを取り上げ、積極的に学びの場づくりを進め、人々との連携を模索しているネットワーク(コムケア*)から3名ともう一つは、2006年団塊世代の大量退職を前にして、彼らが「会社」ではなく「地域」でもうひと働きをすることを目指した活動団体(団塊のノーブレスオブリージュ*)から30代若手を伴って2名の参加がありました。コムケアネットワークからは、ホスピスでの看取りをされておられる現職僧侶といった異色の方もおられましたし、また高齢者の日常生活支援をする施設を運営する施設長など、多種、多彩な面々のご参加で大変議論が盛り上がったことを報告させていただきます。 また「死」をテーマにすると若い方の関心もあることを再確認する機会にもなりました。生きることを模索し、考える日々ではありますが、避けられない「死」から入ることが、ひとつのアプローチにもなることを学ぶ機会となりました。もう少し、この議論を続けてみたいと思います。次回のご案内をお待ちください。

*コムケア:http://cws.c.ooco.jp/

            http://facebook.com/cwsosamu

            http://www.storytelling.tokyo/

            http://lincolnclub.net/

*団塊のノーブレスオブリージュ

            http://dankai.jp/

 

「多死時代 を生きる」

講師: 大江 亮一さん 

プロフィール

慶應義塾大学法学部政治学科卒。元朝日広告社SP局長。

現在、介護・医療の専門誌「シニア・コミュニティ」編集長。

東京都第三者評価員 ヘルパー2級

講師からのメッセージ:世界の先頭を走る日本の高齢化社会。

見本はどこの国にもありません。

私たち自らが考えなければならないのです。

しかし、国にはお金がありません。

(無駄使いはいっぱいしているけれど…)

国に「任せっぱなし」にしてはダメなのです。

自分のことは自分で面倒を見る。

「市民力」で乗り切らなければならない時代が来ています。

 

まもなく「多死時代」がやってきます。

40万人を超える人の死に場所がなくなるのです。

生きることも大事ですが、死についてもっと真剣に考えなければならない。

これまで日本人が最も避けてきたテーマです。

「死」を考えることは「生」を考えることです。

楽しく「死」について語りましょう。

当日資料:

https://drive.google.com/drive/folders/0B4QkEg2dwxLTS2lfOVlvaHNIbkE?usp=sharing

(報告:森本)


20173月例会のご報告

着床前診断(PGD)等の倫理的問題

(着床前診断および関連する生殖医療の倫理的問題)

2017年3月の例会(323日)は山森が話題提供者として、最近、いくつのかの新しい動きがあった着床前診断や生殖医療に関わる倫理的問題を紹介しました。

発表内容については、本ホームページ発表資料欄をご覧願います。

 

発表概要

 着床前診断は受精卵が子宮に着床する前にその受精卵が遺伝子や染色体に異常がないか検査をすることを言います。現在、日本産科婦人科学会の「着床前診断」に関する見解に従って遺伝疾患を回避する目的で限られた施設において実施されていますが、本技術が広がると検査の段階でダウン症などの受精卵がふるい分けられる可能性もあるため、難病患者団体などが流産予防という面だけが強調されて広がるのは問題であり、病気や障害を抱えて生きる人の否定や排除につながりかねない技術だと反発している面もある。

 一方で、東京にオフィスを置いて米国の生殖医療センターと提携し、着床前スクリーニング(PGS)や卵子提供などのサービスを行う企業も登場している。

このような状況において、2017年2月14日、日本産婦人科学会がこれまで国内で禁止されていた着床前スクリーニング(PGS)の臨床研究を開始したと発表したのを機会に、着床前診断、PGSおよび卵子提供などの倫理的問題点について話題を提供した。

 

 また関連する染色体検査、遺伝子検査などゲノム診断技術の紹介やゲノム編集などの遺伝子操作技術についても簡単に紹介し、新たな技術が社会に広がるなかで起こる生殖医療の倫理的課題についても触れた。

 

                                            (報告:山森俊治)


20172月例会のご報告

『選別』される社会

-相模原事件をとおして<問い・語る>哲学対話- 

開催内容の報告

 

2月の例会(2月24日)は、生命倫理カフェねりまメンバーの齊藤充さんにお願いし、先月企画実施をされた相模原やまゆり園事件を話題とした対話会の様子を語って頂きました。お話を頂いた際のパワーポイント資料については、本ホームページ例会発表資料欄をご覧願います。以下に、概要を示しました。

 

(話題概要)

■『選別される社会』 -相模原事件をとおして<問い・語る>哲学対話-

~対話のあと、対話のむこうにあるもの、と~

この事件もまた、悲しいかな、やがて風化していくのかもしれませんが、風化してもなお消えないもの。風化すればするほどまるで澱のように残る、まるで痣(あざ)のような「問い」があるのだとしたら、それはいったい何か。わたしたちはこれから何を語るべきなのでしょう。

■相模原事件をとおして問い・語る・・・ための手段・手法として、

採択され行われた「哲学対話」とはなにか?

昨今、ある種“流行り”でもある「哲学カフェ」について至極簡単に雑感を述べるとともに、在野の市民が行う哲学的な対話の場、

その営みの意義、課題等について、気楽に話してみましょう。

 

*話題提供者のプロフィール*

大学卒業後、広告業界に8年間在籍したのち1995年 キャリア形成支援業界へ転身。キャリアコンサルタント、マネジメント職に従事。主に40歳以上のシニア層延べ22,000人以上のキャリア形成支援に携わる。

2006年 福祉系のグループ組織の経営改革に参画。

 組織改革、人材開発の仕組みづくりに関わる過程で、“対話の発想”をヒントにし、以来、【対話の実践】がライフワークの基軸とな

 り、地域活動・起業のきっかけとなる。

2010年 えんたらいふの活動を開始し、2013年に法人化。現在に至る。

 活動については、えんたらいふのホームページをご参照下さい。

 http://msentalife.wixsite.com/entalife

えんたらいふの活動の傍ら、障害者福祉施設の非常勤職員を兼務。

 また、NPO法人の理事として、地域福祉コミュニティ、熟年男性のコミュニティづくりに従事。

 

練馬区(羽沢)在住。知的障害をもつ“女子(ジョシ)”の父親でもある


20171月例会のご報告  

「暮らす」を考える~民家の学校から学んだこと

 2017年1月28日今年初めての例会を開催しました。期せずしてその日は旧暦新年にあたることを知らされて、「明けましておめでとう。」の挨拶から話が始まります。この日の話題提供者は、民家の学校のスタッフとして一年間お世話をしてくださった古山敦子さん。彼女はご自身のご家族の介護生活を通し、カラダの基本となる食を中心にその素材の出生や自然環境、カラダに取り入れる時期など、私たちが普段あまり気にしないで過ごしてしまうことに気づかされたといいます。それは、日本にある四季折々の気候風土だからこそもっているカラダの仕組みや求める食べ物への配慮に及び、料理中の素材からにじみ出る香りや匂いといった「つくる環境」とカラダの対話まで指摘します。じっくりと季節季節の食材に向かい、料理の前にそしていただく前に、素材と対峙する・・・丁寧な生活に気づかされます。また、往々にして私たちの毎日がそうであるように、「早くできるけれど、早さには気づきが伴わないとも。」さらに、「どんなものにも記憶があるのです。」の言葉には、大きな家というものから始まり、どんな小さなものまで、ものの扱い方、配慮の仕方を教わります。

 新年や3月桃の節句、5月端午の節句、7月七夕、9月重陽の日など古来季節の行事は奇数月に設けられたのも邪気払いの意味が数字にもあることなど、多くのことを学ぶ機会となりました。暮らしに息づくいのちへの敬愛を感じるひと時でした。

 開始に先立ち、私から「民家の学校で学んだこと」の話題提供もさせていただきました。簡単な資料を掲載していますのでよろしかったらご覧ください。 本ホームページ 「例会発表資料」の一番下の資料を御覧願います。

https://e.jimdo.com/app/scdde34cff1bbe257/pcbf20eb2159d2811?cmsEdit=1                                          (報告:森本)