2017年12月例会報告 この一年を振り返る


 

ご参加いただきましたみなさまへ

 

年内最後の例会を23日に終了いたしました。この一年間、例会活動に直接ご参加いただき、その時々の話題に意見や感想を積極的に出していただくなど、お互い考える機会をもつことができましたこと大変うれしく思います。ありがとうございました。

 

来年は、212日に「練馬区つながるフェスタ2018」への参加や2年ごと行ってきた大きなイベント企画などを実施したいと思い、外に向けての活動年としたいと思います。

 

さて、「この一年を振り返る」テーマで、ワークショップを行いましたので少しご紹介をします。

初めての試みでもありましたが、友人香取一昭さんの手法をマネて振り返りも話題の幅や掘り下げに広さや深みがでる展開となり新しい刺激を受けました。ご参加のみなさまにも面白い試みだったようです。

 

2017年を振り返る>

ラウンド1: 20年後に影響をすると思われる今年の出来事 3つ

       いろいろと自分だけでは、気が付かないアイテムが挙がってきました。

       またみんなに共通話題も。

ラウンド2: それぞれがどのようにかかわっているのかを考える

 

ラウンド3: 2017年は一般人にとって「○○○・・・の年」

           自分にとって「○○○・・・の年」

 

おまけ: 20年後に今年2017年を振り返るとき、どんな意味があるのかを考える後半は、来年の課題について、意見を出し合いました。

 

1.AIと生命倫理(山森さんの継続テーマ)

2.子どもの育ち、その環境変容を知るべく学童保育、放課後等児童教育施設の現状把握

3.社会的事件、その背景(座間9人殺害事件とSNSネットワークなど)

4.看取りと地域包括医療システム

5.遠足企画→香取さんのワールドカフェに参加、ホストとして場づくりを行う(2月)

6.その他、メーリングリストにてみなさまから話題提供の提案を募ること

 

6にありますように、独自に考えておられる課題(発表も含む)や話題などございましたら、ぜひお知らせください。またご自身での場づくりもOKです。

 「第 34 回全国青少年相談研究集会」の開催(118日、19)お知らせいたします。←ご参加希望の方はご一報ください。

 

○複雑化する青少年問題にどう向き合うか~『連携』を問い直す~」として、基調講演、分科会(「児童虐待」「インターネットをめぐる問題」「いじ

め」「子供の貧困」「発達障害」)、シンポジウムを通して、複雑化する青少年問題への対応について考えます。

http://www.niye.go.jp/info/yukutoshi.html

 

また、当会にご協力をいただいている松永正訓医師のご活躍情報のお知らせです。11月ご登壇の講演会予稿集大変よい内容ですので、みなさまと共有したいと思います。

 

第36回日本医学哲学・倫理学会

http://itetsu.jp/main/wp-content/uploads/2017/09/36thJAPERMAnuMeetProgram.pdf

なお、2月9日(金)早朝4時から、NHK「ラジオ深夜便」に出演し、「授かりものの命をささえる」というテーマで40分ほど話しをされます。

それでは、みなさまよい年をお迎えください。

 

追伸:来年1月以降の例会日は以下のようになります。

120()217日か24日(土)、317日(土)428日(土)変更になる場合もございます。いずれも多目的室2を仮押さえしております。

 

詳しくは近くなりましたら、ホームページでご確認ください。


     2017年11月例会報告「ゲノム編集時代の生殖医療と私たち」講演会 聴講報告

10月の例会においてゲノム編集についての問題点について山森が話題提供し、皆さんで議論をしましたが、20171126日(日)、テレコムセンターでゲノム編集に関する講演会があるとのこと、急遽、遠足企画としてサイエンスアゴラ2017の日本学術会議 科学と社会委員会 ゲノム編集技術と社会に関する検討分科会 基調講演 企画番号 141の「ゲノム編集時代の生殖医療と私たち」の講演を森本代表、立野氏および山森の3名で聴講してきました。その論点、内容および感想を以下に示します。

企画趣旨は「市民レベルでゲノム編集技術についての理解を広げ、問題の共有を図り、制度のあり方や個々人の心持ちも含めて議論することにより、ゲノム編集技術の生殖医療応用のあり方について議論をする」とのことでした。(チラシより引用:http://www.mbsj.jp/attachments/meetings_attach/20171126.pdf

司会は石川冬木氏(日本学術会議会員、京都大学大学教授)が行い、話題提供者(演者)は石井哲也氏(北海道大学安全衛生本部教授)苛原稔氏(徳島大学大学院医歯薬学研究部産科婦人科学分野教授)、村山圭氏(千葉県こども病院代謝科部長)および宮野きぬ氏(NHK国際放送局ワールド・ニュース部チーフ・プロデューサー)の4名でした。

石井氏はヒト配偶子や受精卵のゲノム編集についての論点を話されました。まず、生殖医療、特に着床前診断(PGD)について説明後、ゲノム編集の原理、目的、利益、リスク&問題について説明をされました。論点については生殖医療現場で使う目的は、遺伝子の変異を修復し、子における遺伝子疾患の発症を予防することだろう。として、6点をあげられましたが、以下に2点のみ転載いたします。(石井氏配布資料より)

・多くのケースでPGDが適用できそうだが、一部夫婦へのゲノム編集の適用は妥当に見える。基礎研究を許容、むしろ振興すべき

 か、逆に禁止すべきか

・予防医療目的で使った後、胎児に遺伝的異常があることが分かり、中絶が選択される可能性があるが、問題ないか否か

論点については時間の制約から掘り下げた説明はされませんでしたが、国でも、市民レベルにおいても十分議論すべだと感じました。

苛原稔氏からは、日本の生殖補助医療(ART)の状況、日産婦学会のPGT-Mに対する考え方、審査の現状およびこれからのPGT-M等についてのご説明がありました。

これらのことを踏まえて、生殖医療へのゲノム編集技術の応用は、克服する問題が多く、現状での臨床応用はじき尚早であり、当面、基礎研究に限る必要があると述べられました。

村山氏からは、こども病院・遺伝診療の現場からと題して、新生児ミトコンドリア病の出生前診断について例を挙げ説明をされました。また、卵子の細胞質・ミトコンドリアを交換することでミトコンドリア病の伝播を回避する紡錘体移植および前核移植に触れられ、2015年に英国では法整備がされたが、日本では卵子提供や生殖細胞への介入が法的に認められていない状況であるので、倫理的な問題、法的・社会的な問題や次世代への影響、安全性、有効性についての検証が必要であると指摘をされました。

ミトコンドリア遺伝子の改変も、生殖医療に深くかかわっていることを改めて認識するとともに、次世代の遺伝子を改変する新しい生殖医療が想定されているにもかかわらず、生殖細胞系列の遺伝学的改変の国および市民レベルでの議論は進んでいるとは言い難い状況を解決していかなければいけないと感じました。

 宮野氏からはNHKにおける関連報道の取り組み(「生殖医療・着床前診断・ゲノム編集」)と題して、まず、「生殖医療」「着床前診断」のニュース報道に比べ2016年からヒト受精卵関連の“ゲノム編集報道”が増加していることを話され、リストで示されました。また、これらに関連した世界の報道についても紹介され、最後に、日本における議論で必要な視点は、①技術の安全性、②次世代に引き継がれる遺伝情報の是非、③生まれる子供の視点(出自を知る権利など)、④人間とはなにか? であろうと述べられました。

話題提供終了後、会場からの質問が設けられましたが、関心が高かった質問について、紹介しておきます。

 Q:ゲノム編集技術が将来、成功率や安全性が仮に100%くらいになったとの前提で、ゲノム編集をすることが、第一選択となるか? 敢えて、ゲノム編集を拒否することはあるか?(命にかかわる疾患を予防する技術がある時に、それを使わないのは倫理的に受け入れられるのかという問題)

話題提供者からは、「倫理の専門家ではないが、自分の意志とは関係ないところで胚の遺伝子が物理的に操作されて生まれてくるところに倫理的な問題が孕んでいるいるように思える」との発言がありました。また、別の演者からは、「選択肢は色々あると思う。まだ生まれていない段階での操作なので、予防という考え方になると思う。

選択肢の例としては、例えば健康な卵子や精子を提供してもらい、片方の親と血が繋がることも考えられる。(日本では無償の卵子提供以外は認められていないが)その他、特別養子縁組なども選択肢として考えられるであろう」とコメントされました。

 今回、講演に参加して、自分が考えていた以外の様々な分野において、生殖医療の問題があることを知るとともに、その問題の解決のための選択肢についても課題があることを知りました。

 法的制限など考えられる問題や選択肢について、一つ一つ、早めに議論を進め、社会的コンセンサスを得ていくことが大事であろうと感じました。(報告:山森 俊治)


     2017年10月例会「先端技術に関わる生命倫理」~ゲノム編集と倫理的問題

10月例会の「先端技術に関わる生命倫理」~ゲノム編集と倫理的問題には話題提供をしていただいた山森さんより50枚ものスライドをご用意いただき、参加のみなさまと活発な議論をすることができました。

新しくご参加の方より、現在の医療分野では、基礎より臨床を重んじる方向であること、また、医療の世界では「人は、どこまで生きるのか、生かせるのか」が大きな課題となっていること、研究者も人の子、各段に進歩したゲノム編集技術による生命操作暴走への歯止め力への期待、当面は創薬分野での進行を見守っていくことなど、いろいろと気づかされる意見をいただきました。

少し時間をいただき、当日資料をホームページにアップする予定でおりますのでお待ちください。(報告:森本)

 


    2017年9月例会「地域福祉の現場から、訪問看護のこれからを考える」

江澤淑子さんをお招きし、長年にわたり看護・介護など福祉活動を続けてこられた経験にもとづくお話しをしていただきました。

 

専業主婦であった江澤さんは、あることをきっかけとして介護福祉の世界に入られましたが、この道に進む選択の際に、一番大きな影響を与えてくれたのが、訪問看護の草分け的存在として現在も勢力的に活動をしておられる秋山正子さんだと言います。

 

秋山さんは、訪問看護制度初年度の1992年(平成4年)に市ヶ谷本村町の白十字診療所と同じビルに事務所を開設、その当時訪問看護ステーションの数は全国200か所、都内9か所ほどでしたが、その後最近では1万か所に届くほどに。 2001年(平成13年)には有限会社ケアーズを設立し、ケアーズ白十字訪問看護ステーションとして活動を継承、10年後の2011年には「暮らしの保健室」を戸山ハイツに開設するなど、日常生活を基本とした暮らし、健康、医療、介護などあらゆる相談に応じながら、活動範囲を広げてきました。そうした秋山さんの活動をひざ元で支え、初心を貫く姿に強く影響を受けたと言います。

秋山さんの言葉: 利用者すべての方が自らの尊厳を守りながら、住み慣れた自宅で生活が続けられるよう、生活リハビリテーションも含めて、支えていく。そのために、病院や施設との連携を図り、医療と介護の橋渡しをしながら、チームケアの橋渡しをする。これまで、ターミナルケアにも積極的に取り組み、その実践の中で学んだ「ホスピスマインド」を活かし、最期まで自分らしく生きたいと願う方々の看護を実践していく。(ケアーズホームページ「住み慣れた処で暮らす」より抜粋)

 

「ミモザの家」はそうした考え方から作られた看護小規模多機能型居宅介護サービスの拠点です。「通ってよし」「泊まってよし」「わが家でよし」の利用者の生活の拠点となる多様なサービスを提供する「家」でもあります。ディサービス、ショートステイ、リハビリテーション、自宅介護サービスとバラバラ感がある現状の介護サービス環境で一気通貫ともいえ多面的支援は大変意義ある活動だと感じました。

 

また、秋山さんが理事長をしておられるNPO法人白十字在宅ボランティアの会を中心に利用者の声を聞き、それを一人の人生物語として書き起こす「聞き書きボランティア」の育成指導活動には大変興味をもたせていただきました。

「「聞く」ことで忘れていた記憶がよみがえり、語り手が生き生きしてくる。最も身近な家族に目を向け、耳を傾ける姿勢が何よりの敬老なのでは?」(「聞き書きボランティア」ホームページより)の言葉には、イマドキ家族には薄れがちな面に気づかされもしました。他人に語る言葉から、家族でも知らなかったその人の人となりに気づく、新しい発見でもあります。(報告:森本)